教科書を広げて


寛(クツロ)ぎタイムが終わると早速声をかける。


「おじさ〜ん。オススメない?」


ここにある本のことは知りつくしているおじさんに聞くのが一番。

おじさんが選んでくれた本は未(イマ)だかつてハズレがないのだ。



うーんと、少し考えるような顔をしてレジよりも左側にある上の棚から一冊の本を取ろうとする。

その棚の前の一箇所には何段にも重ねた本が3列に並んでいるせいか、取りづらそう。


急いで周りを見渡し、近くにあった脚立(キャタツ)を持って行くことにした。



「おぉ、ありがとう。気が利くねぇ!」

「エヘヘ〜」


おじさんほど気が利く人に褒められると照れるなぁ。

脚立に上ることで簡単に取ることができた。

おじさんは優しい手つきで本を一撫ですると私に渡した。



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