教科書を広げて


本を受け取り、じっくり品定めを始める。



タイトル、ショートプリンセスロード。

著者、朝巳 千世子(アサミ チヨコ)。

ここにある本にしては新しく、表紙には童話の物語に出てきそうな絵が載っていた。

柔らかな淡い色を基調として塗られた空とお花畑に妖精達。

一際目を引くのは真ん中のお姫様。


軽やかにダンスをしているような今にも動き出しそうな姿に、私はすっかり目を奪(ウバ)われる。



「ステキ・・・」

「だろう?」


おじさんは自慢げに、それでいて淋しげに"特別な本だ"と言った。


この本になにかあるのだろうか?


少し気になったが、聞いてはいけない気がして口を閉ざす。



< 6 / 18 >

この作品をシェア

pagetop