教科書を広げて
本を受け取り、じっくり品定めを始める。
タイトル、ショートプリンセスロード。
著者、朝巳 千世子(アサミ チヨコ)。
ここにある本にしては新しく、表紙には童話の物語に出てきそうな絵が載っていた。
柔らかな淡い色を基調として塗られた空とお花畑に妖精達。
一際目を引くのは真ん中のお姫様。
軽やかにダンスをしているような今にも動き出しそうな姿に、私はすっかり目を奪(ウバ)われる。
「ステキ・・・」
「だろう?」
おじさんは自慢げに、それでいて淋しげに"特別な本だ"と言った。
この本になにかあるのだろうか?
少し気になったが、聞いてはいけない気がして口を閉ざす。
,