教科書を広げて


どのくらいたったのだろう。

気になった本を手に取るもなかなかピンとくるものがない。


ふと、先程邪魔(ジャマ)になっていた本のかたまりを見遣る。

どの本も年季が経っているようでタイトルでさえ掠(カス)れて見えなくなってきているようなものばかりだった。


「あぁ、それ。古いだろう?もう処分しようと思っていたんだよ。」


「えぇ!?勿体(モッタイ)ないよ。」

正直な言葉が漏(モ)れてしまう。

古いけど掘り出し物があるかもしれないのに〜


「それなら、持ってってもいいぞ?」

「え?」

「静ちゃんに貰われたほうが幸せだな。」

「ホントに?」

「何冊でも持っていきな。」

「やった!!」


嬉しい申し出に思わず飛び上がってしまう。

何事も言ってみるものだ。


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