俺は絶対に捕まらない①
 健二はシカとしてその場を通りすぎようとすると、「おい、まてやクソガキ!」と、若い男が大声を張り上げた。
「俺の言ってることがわからねぇーのか? 子供はな大人の言うことに黙って従えばいいんだよ!」
 その酔っ払いのサラリーマンの男は、そう健二を侮辱する。
 健二は無表情でその場を、スタスタと去っていく……。
 次の日。
 今日は祝日とあって、早乙女家の朝の食卓は誰一人リビングにいない。
 朝の7時。
 健二は2階の自室から階段を、あくび交じりに降りてくる。
 そして1階のリビングに入る。
 誰もいないリビング。
 健二は冷蔵庫をあけ、ゼリーをとる。
 それをテーブルの上に置く。
 そしてリモコンでテレビをつける。
 すると7時のニュースが流れる。
「おはようございます。午前7時のニュースです。昨夜未明、樫の木坂町の住宅街のアパートの階段の手前で、背広を来た男性が倒れていると110番通報があり、警察官が駆けつけたところ、腹部に刺し傷があり出血多量による出血死であることが判明……。警察は殺人事件を視野に入れ捜査するとの報告です。次のニュースです……」
 健二はあくびをしながら、テレビを消す。
 消されたテレビ画面に健二の顔が映る。
 その画面に映る健二の顔は、不敵な笑みを浮かべている。
 夜になり、健二はパソコンを立ち上げインターネットに接続する。
 いつものように掲示板に顔を出す。
 だが今夜は、書き込みは一切しない。
 ただただ傍観者でいるだけであった。
「こいつら、ただストレスのはけ口にしているだけだな。こんな掲示板ただの肥溜めだ」
 そう言いながら、健二は無表情で傍観している。
 健二は、ふと画面をみつめ、あることに気がついた。
「くそっ……」
 健二は舌打ちをしながら、顔をゆがめた。
 
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