俺は絶対に捕まらない①
 するとしばらくして、母親が1階から大声で2階の自室にいる健二を呼ぶ。
「健二、健二ぃー。正信くんが迎えに来たよー」
「今行くぅー」
 健二は「シュート!」といいながら、生首を右足で蹴り、押入れめがけてシュートを決める。
 生首は勢いよく、押入れの壁にぶつかり転がる。
 健二はそのまま押入れの開き戸を閉める。
 健二は小走りに階段を下りて、玄関に向かう。
 玄関でスパイクに履き替えて、玄関の外にでる。
 外に出ると正信がサッカーボール片手に待っている。
「おお、わりぃわりぃ」と言いながら健二は正信に向かい謝る。
 健二はサッカーボールを地面に置く。
「んじゃ行くか」と健二がいうと正信は「うん」といい、ふたりでドリブルをしながら小学校の校庭へと向かう。
 住宅街の歩道の上をふたりは、ドリブルをしながら走り抜けていく。
 ふたりの横をパトカーが通りすぎていく。
「そういえばそこのコンビにでバラバラ事件あったな健二」
「ああそうみたいだな」
 ふたりは学校の校庭に到着する。
 健二と正信は同級生たちと合流し一緒に校庭でサッカーをする。
「ヘイ、パース」
 高志が健二にパスを出し、健二はゴールめがけてシュートをする。
 強烈なシュートが右隅に決まる。
「よっしゃー」
 健二はガッツポーズ。
「ナイッシュー」
 メンバーに声をかけられながら自軍に戻っていく。
 その無邪気な笑顔とは裏腹に、健二は、心の中でつぶやく。
「俺は絶対に捕まらない」と。
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