僕らのさいごの旅にでよう。【BL】
乗り換えする駅で、
お弁当とお茶を買った。
それを見て、
微妙な顔をしていると、
彼が覗きこんで尋ねてきた。
「……何か不満?」
「お茶がさ、違うんだよ」
小さい頃に旅行した時は、
お弁当と一緒に、温かいお茶を買った。
「なんかこう、プラスチック容器でさ」
「プラスチックじゃん?」
ペットボトルを持ち上げて、彼は言う。
「違うんだよ、中が見えててさ……」
「見えてるじゃん?」
上に掲げて光に翳して、
何が違うんだと、彼は言う。
「まあ、別にどうでもいいんだけど」
「いいのかよ」
じゃあいいか、と彼も言って、
ベンチに座ってお弁当を食べ始めた。