ピリオドと始まりの世界

~裏路地~


「…」


「…」


「…大丈夫かなぁ?式神ちゃん」


「…式神なら・・・約束は守る」


「そしたらザルダからも解放されるってか」


「…あぁ。」


ザルダ。俺たちは戦争後親を亡くしてたむろっていた。


そんな俺たちをエサの用に見て拾った。


それが俺たちの悲惨な物語の始まりだった。


そんな日常の中での救いが式神が存在すると言う情報を得た時。


あの時は心臓が高鳴り興奮して眠れなかった。


いつか会える。そんな気を持ち今に至る。


「…」


「はぁ…はぁ…」


「式神の声・・・式神っ」


「おに・・。ちゃ?」


「…式神・・・?」


「…そうだよ。ごめんね。歩けなくなっちゃった」


うつむいている。多分前が見えていない。


砂で見えないってだけなら良いけど…。


「…手当てしないと」


「おれも手伝う」


「わたくしもお手伝いいたします」


「…その声。笹目。か」


「笹目?」


「…戦争が終わった日。助けてくれた女。」


「神。また怪我をしましたね・・・心配をさせて」


「今回は重症・・・許してよ」


式神の苦し紛れの声。笑ってる。


「とりあえず手当てですね。用具は持ってきました。」


< 10 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop