少年少女は夢を見る
奈里ちゃんを見送ってすぐ、雨が降り始めた。
斜めに吹きつける強い雨。
「奈里ちゃん、大丈夫かなぁ」
そう言いながらも傘を持って行ってあげようとは欠片も思わない自分が、我ながらひどい。
奈里ちゃんも友達がいの無い奴と友達になったものだ。
きっとこんな日に飛び降りたら、俺の体は雨でぐしょぐしょに濡れるんだろう。
きっとこんな日に手首を切ったら、俺の血は雨に流れていくんだろう。
きっとこんな日に溺死したら、俺の姿は見る影もなくなるだろう。
原型を失くした自分を想像して体中が総毛立つ。
もしそうなったら、俺はこの上なく幸せだろうに。