少年少女は夢を見る
でもそこまで突っ込んで聞くほど子どもじゃない。
「今日も頼の家行くからね!」
胸を張ってわざと大きな声で言うと、頼は眉を下げてちょっとだけ心配そうに私を見た。
「大丈夫?さっきくしゃみしてたけど」
「うん平気。ていうか頼に勝つまでずっと通ってやるんだからね」
あの屈辱はもう味わいたくないから、できれば今日中に勝ちたいところだけど。
「ほんと、奈里ちゃんて男前だよね…」
そう言えば男前って言葉はあるけれど、女前って言葉は聞かないよなぁ。
そんなとりとめもないことを考えながら、曇り空の下、頼の家までの道を歩く。
最近は頼の家に行きすぎて、自宅よりもこっちの方に足が向いてしまうぐらいだ。