少年少女は夢を見る
最初は俺のためにそこまで悩んでくれるのかと思ったけれど、どうやらそうじゃないらしい。
「奈里、ちゃ――」
ぐらりと傾く体。
昨日の雨。
傘を渡しに行こうともしなかった俺。
今日のくしゃみ。
どしゃ、と鈍い音がする前に受け止めることさえできなかった。
戸惑いながら彼女の体に触れると、それだけで溶けてしまいそうなぐらいの熱が伝わって来た。
アイスだけじゃなくて脳みそまで溶かしてしまいそうな、熱。
「奈里ちゃん」
「う……」
苦しそうなうめき声。
テキパキと介抱することだとか、そんなものは全部頭から抜け落ちてた。