少年少女は夢を見る
ひたすら脳内を駆け巡ったのは、おびただしい数の「死」ただ一文字。
死、死、死……あぁそうか、こんなにあっけなくやって来るものなのか。
苦しいんだろうか、死んだ後も辛いんだろうか。
痛いんだろうか、安らかなんだろうか、このまま彼女を放っておけば彼女は一足先に旅立つんだろうか。
俺は、
「よ、り」
か細い声が遠ざかりそうな思考を引きとめる。
そぅっと視線を移すと、全力で俺の服の裾を掴む奈里ちゃんがいた。
熱に浮かされた真っ赤な顔で自分のことでいっぱいいっぱいだろうに、それでも俺を止めようとする。
おめでたい人種だね、君って人は。