少年少女は夢を見る


「なぁに、奈里ちゃん」

普通の人だったらもっと慌てるんだろうな。

だって友達がすぐ側で熱を出して倒れてるんだから。


「…ただの風邪だから。死なない、から」

そっか。
風邪、だったのか。

つまらないなんて呟けば、君は人でなしと怒るだろう。

でもね、本気で思ったんだよ。

死なないのか、つまらないなって。


「ごめんね」

聞こえないように小さな声で謝ったけれど、彼女には届いてしまったらしい。

ちょっとだけ眉を寄せて、悲しそうな顔で笑ってた。

きっと俺の気持ちもばれているだろう。


< 26 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop