少年少女は夢を見る


奈里ちゃんの家まで運んでいくほどたくましい体なんて俺にはないから、必死の思いでベッドに寝かせて彼女の家に電話をかける。

今から車で迎えに行くと言われたけれど、住所をいちいち説明するのも面倒くさい。

それはお断りして俺はそっと受話器を置いた。


「…バカだなぁ、奈里ちゃん」

体調が悪いならわざわざ来なくたってよかったじゃない。

辛いならアイスやジュースなんて買わなくてもよかったじゃない。

どうしてそこまでして俺と一緒にいようとするの。


答えなんて決まってる。

一人にしておけば俺がいつでも死ねるからだ。


「頼」

さっきよりはしっかりした声が俺の名を呼ぶ。


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