少年少女は夢を見る
翌日、昨日適当に埋めた数学の小テストが満点だったことが発覚した。
こんなこと友達に言っても嫌味にしか受け取ってもらえないだろうから、そっとファイルの一番奥に突っ込んでおく。
私が今欲しいのは満点の小テストなんかじゃない。
そうじゃなくて、私が一番欲しいのは……。
「奈里ちゃん」
ふと顔を上げると、いつの間にか頼が私の前の席を陣取っていた。
椅子はそのままで体だけこっちに向けて彼がしゃべる。
「もう大丈夫なの?今日奈里ちゃんの家行っていい?次は俺が勝つ番だからね」
「あぁ、うん…」
何かおかしいと気付くのに時間はかからなかった。
頼はこんなに矢継ぎ早にしゃべる人じゃない。
どちらかと言えば素っ気ない方で、だから今日の頼は変だ。