少年少女は夢を見る
「そう、死にたいって思ってた。だからあの時しゃべりかけてくれたのが奈里ちゃんで本当によかった」
他の人だったら、俺は自分を抑え込めたかわからない。
彼はそう呟いた。
神様、どうすれば彼の願いは自然に消え失せてくれるの。
私に彼を救えるだけの語彙なんて、あるわけがないのに。
それでも彼は私を頼って来るんです。
「頼。死ぬって、自分だけの問題じゃないんだよ」
葬式だって当然やらなくちゃいけないし、それまで頼が背負ってきた役割は誰かが果たさなくちゃいけないことになる。
誰かに責任をなすりつけて、逃げるだけだよ。
そう言うと彼は、ずいぶん現実的だと苦笑した。