少年少女は夢を見る
またアイスをねだられるかとびくびくしていたけど、さすがに昨日の騒動で奈里ちゃんも懲りたらしい。
今日は何も言ってこなかった。
まだ対戦を続けるのかと思っていたら、いきなり奈里ちゃんはゲーム機の電源を切って俺と向かい合った。
あぁ、真っ直ぐな目だなぁ。
…よくも、悪くも。
「頼、ひとつ約束があるの」
「なぁに」
「お願いだから、私に黙って死んだりしないでね」
もちろんさ。
俺が死んだとして、第一発見者になってほしいのは君なんだから。
それを言うことなく頷くと、彼女は弱々しく笑った。
なんて歪んだ、奇妙な、平和なんだろう。