少年少女は夢を見る


「奈里ってさぁ、誰か好きな人いないの?」

その質問はとてもプライベートなものだし、本当なら他人になんて話さなくても何の問題も無い。

だけどその時の私の友達――瑞姫(ミズキ)は聞いてきた。


小さい頃から知っているわけでもない。

中学校に入ってから知りあって、少し話が合ったから親友だとうわ言みたいに繰り返していた。


秘密は共有して、守るために聞き出すんだと思っていた。

まさかそれを言いふらすために聞く人がいるなんて。


出さなくてもいい勇気を精一杯振り絞って好きな人を告白した次の日、私は見事に彼女に裏切られた。

ままごとみたいな、友達ごっこ。
その遊びに先に飽きたのは、私じゃなくて瑞姫の方だった。


< 50 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop