少年少女は夢を見る


だから私はどれだけ頼と仲が良くても、親友なんて言葉は使わない。

瑞姫とはそれから話もしなくなって、全部忘れたつもりだった。


恋もできなくなったこの心や、完全に人を信頼できなくなった私の精神の壊れ具合なんて、瑞姫は何も知らないのだろう。


子どもはとても残酷で、自分勝手で、その分被害妄想も激しい。

だからいじめる側は壮絶なほどひどいことを平気でするし、いじめられる側は背負わなくてもいい責任を全部自分で背負おうとする。

そして私は後者だった。
それだけの、簡単なこと。


関わらなければいいと思って、瑞姫が行きたいとも思わないような普通の高校に行った。

彼女が行ったのは市内の高校でもかなり新しくてオシャレな女子高だった。


逃れられるって、忘れられるって、思ってたのに。


「奈里、久しぶりぃー」

砂糖菓子みたいに甘く濃厚にこびりつく声が、怖い。


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