少年少女は夢を見る
すべてを自覚した瞬間、急に地面が私を拒絶した気がした。
どうしてだろう、さっきまであんなに近くにあったのに。
ふわり浮足立ちそうな気持ちの中に、どろり汚いものが流れ込む。
「だからね、奈里ちゃん。慌てなくていい」
ぎゅ、と頼が私を抱きしめる力が強くなる。
私から見えない表情は、どんな風に形作られていたのか。
「死ぬ時は一緒に死のうよ」
どこから本当で、どこまで本当なんだろう。
あの夜の帰り道、私を送ってくれたのは私を一人にしないため?
あの日の放課後、私にずっとしゃべりかけてくれたのは私が何を考えているか気付いていたから?
その答えは彼の頭の中にしか無い。