校舎と夕日の間から
毎晩電話で話しているくせに、いざ2人きりになると、緊張して言葉が出なかった。
暖房の温度を何度も設定しなおす俺。
落ちつかねぇ…
何、ドキドキしてんだ、俺。
「明日…頑張るね!焼きそばいっぱい売るから!」
直は、ひまわりのような眩しい笑顔を俺に向けた。
そうか…
お前は
『生徒』なんだな。
お前は、この状況でもちゃんと『生徒』を演じてる。
ここで、甘えてしまうと、また明日からが辛いこと、直は知ってるんだ。
だから、俺の熱い目に気付かないふりをして、
爽やかな笑顔を俺に向ける。
俺は、FMの音量を少し上げて、暖房の設定温度を下げる。