校舎と夕日の間から


毎晩電話で話しているくせに、いざ2人きりになると、緊張して言葉が出なかった。



暖房の温度を何度も設定しなおす俺。



落ちつかねぇ…



何、ドキドキしてんだ、俺。




「明日…頑張るね!焼きそばいっぱい売るから!」




直は、ひまわりのような眩しい笑顔を俺に向けた。





そうか…


お前は

『生徒』なんだな。





お前は、この状況でもちゃんと『生徒』を演じてる。




ここで、甘えてしまうと、また明日からが辛いこと、直は知ってるんだ。




だから、俺の熱い目に気付かないふりをして、

爽やかな笑顔を俺に向ける。



俺は、FMの音量を少し上げて、暖房の設定温度を下げる。









< 11 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop