校舎と夕日の間から
屋台の横の噴水から心地よい水の音が聞こえる。
11月とは思えない暖かな日差しの中、俺は頑張る生徒を見つめた。
一人一人、ちゃんと俺の記憶に残すように…
10時になると、他校の生徒や保護者、地元の小中学生で、学校がお祭りのようだった。
『ヤキンバ』…直が言ってた笑える看板の前に立つ俺。
いらっしゃい、いらっしゃいと言っていると、他のクラスの生徒に
「新垣先生、似合いすぎ!!」と言われた。
直が、昨日の電話で『絶対白いジャージがいい』って言うから、今日も俺は白いジャージ。
やきそばのソースが飛ぶのが心配で、本当は黒を着るつもりだったのに。
直は、野菜を切る係で、昼になっても屋台に顔を出してはくれなかった。
売れ行き好調で、常にお客さんがいる状態。
12時半になると、生徒達の交代の時間。
一緒に回ることはできないが、直が楽しんでいる姿を見れるだけでいい。
窓越しに見えた直は、幸せそうに笑いながら、野菜を切る。
本当にあいつは人をホッとさせる笑顔をしている。
何がそんなに楽しいんだろう、と思うくらい幸せそうな顔でキャベツを切る。