校舎と夕日の間から

俺がそばにいてやれない分、直には素敵な友達がいる。

温かい家族がいる。


そんな周りの人の支えがなければ、俺と直が今こうして笑顔でいることはなかっただろう。



直には言うなと口止めされているから、言えないけれど、時々直の姉ちゃんから電話がある。


しかも写メが送られてきたりする。


もちろん直の写真。



嬉しくないわけがない。


心配になったり、ちょっとしたやきもちを焼いた夜は、直の写真を見てしまう俺。


妬くこともあるよ…


俺だって、男だから。




直に優しくする化学教師や、直のバイト先の店長や…


信じてはいても、それとこれとは別。



白いジャージが好きな直。



『白』が好きなのか?



じゃあ、化学の先生の実験用の白衣も好きか?


パン屋の店長の着てる白い調理服も…好きなのかぁ??





俺って…

ばかだよなぁ。



あいつは、俺の着ている白いジャージが好きなんだ。

違う人がこれを着てても、あいつはかっこいいなんて思うわけがない。





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