校舎と夕日の間から
もうすっかり暗くなった廊下を歩く。
左の手のひらには、さっき塗っていた青色のペンキがべったりとついている。
教室は、油性ペンとペンキと、みんながこっそり持ち寄ったお菓子の異様な匂い。
高校3年生の文化祭は特別なんだ。
どのクラスも遅くまで残って準備をしている。
みんな、少しでもこの時間を長く過ごしたいんだろう。
誰もが帰りたいとは言わなかった。
俺のクラスは最高。
明日の文化祭、絶対にあいつらにいっぱい思い出作らせてやりたい。
俺のクラスの出し物がなぜ、『やきそばやさん』になったかって?
それは、謎。
『私が言い出したんじゃないよ』
必死で言い訳する俺の彼女の仕業かも知れない。