校舎と夕日の間から
お皿を返すという理由ができた俺は、調理室へ行った。
交代の時間が過ぎたにも関わらず、午前の担当の女子もみんな手伝っていた。
ピンクのエプロン姿に近付いて…
「最高にうまかったです…」
振り向いた直に、親指を立てた。
売れ行き好調なやきそば屋を影で支えてくれる女子達。
そして、俺を支えてくれる直。
「お前らぁ、ごくろうさん!おかげで、バカ売れ!!」
俺の大声に驚く生徒達は、手を止めて俺の周りにに集まって来る。
「先生も食べてくれた?」
「先生、昼から一緒に回ろう!」
俺と直が、卒業まで距離を置く決心をした原因にもなった生徒、荒木。
俺を誘う荒木の声。
絶対に聞こえてるのに、直は笑っていた。
聞き流そうと頑張っているその笑顔に、胸が痛くなった。