校舎と夕日の間から
腕まくりしたかわいい彼女が俺に向かって、やきそばをすすめる。
「あ、じゃあひとつ下さい。腹いっぱいだから少なめで。あ!卵トッピングよろしく!」
午前中にはなかった『ヤキンバ』の看板への落書き。
書いた犯人は…
「矢沢!!お前だろ!この落書き!!」
俺は知ってる。
直の教科書にはかわいい落書きがいっぱいあるんだ。
眠くなると直は、絵を描いて、眠気を吹き飛ばす。
『ヤキンバ』の文字の隣に書かれた、ヤキンバ星人という不思議なキャラクター。
頭の上にやきそばを乗せた、ふざけた顔をした宇宙人だった。
「かわいいでしょ?」
自慢気に、胸を張る俺の彼女。