校舎と夕日の間から
「キャー!!!直!!久しぶり!!」
甲高い声で、我に返る。
白いワンピース姿の女の子が、直に抱きついた。
「あっちゃーん!!久しぶり!」
俺。
ばかだなぁ。
そっか…
女の子だったのか。
ホッとしつつも、自分が情けなくなる。
あっちゃんという少女は、直の中学時代の友達らしい。
俺のことを、『担任のイケメン教師』と紹介した直。
俺の表情はまだ曇ったままで、元に戻るには時間がかかった。
あっちゃんが焼きそばを買って、その場を離れる頃には、
いつもの俺に戻っていた。
俺の背中ツンツンって触れた… 直。
俺の背中に顔を寄せて、『ごめんね、せんせ』
と、言った。
バレてんのか??
俺の嫉妬、バレてる??
さすが、直。
俺はわざとふくれっ面で、直をジロっと睨む。
でも、目が合ったことに喜んだ俺の体は、顔の表情筋に指令を出す。
ニヤニヤ…
直の笑顔につられて、俺も笑う。