校舎と夕日の間から
俺は、モヤモヤした気持ちを吹き飛ばすかのように、大声で客寄せをした。
頭にタオルを巻いた俺を見て、
「新垣先生、写真撮らせてください」
と何人かの女子生徒に声をかけられた。
なぁ、直。
お前は良い子すぎるよ。
泣けてくる。
どうして、お前がシャッターを押す?
一番辛い役目をどうしてお前が引き受ける?
俺の腕に手を絡ませる女子生徒と、作り笑顔の俺を
お前はどんな想いで見ているんだ?
写真の中の俺は、きっと切ない顔をしているだろう。
そんな直を見て、目を潤ませていたのは、俺だけではなかった。
親友であるゆかりもまた、俺と同じ想いでいた。