校舎と夕日の間から


オレンジの空に雲が浮かぶ。


薄っすらと出た月までもが、俺のかわいい生徒達を精一杯照らす。




もう来年はいないんだな、お前ら。


もう、卒業しちまうんだな。



教師っていう職業は結構寂しいもんなんだ。


大事な生徒を飛び立たせるのが仕事だけど、いざ飛び立ってしまうと寂しいもんだ。



どんどん新しい歴史ができ、ここで大きくなって、みんな巣立っていく。



俺達教師は、ここから巣立った生徒を、

見送ったあともその先をちゃんと見守っている。




いつでもここにいるから。



俺はここにいるから、いつでも帰ってこい。



元気な顔を見せに戻って来い。





何か壁にぶつかって、悩んだら、ここへ来い。



校舎も、この夕日も…

お前らを忘れはしない。






< 53 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop