校舎と夕日の間から
直は、俺を『先生』と呼ぶ。
当たり前だけど、もうあだ名って言うか、俺=先生。
付き合ってからも、直は俺を『先生』っていつも呼んでいて、
しかも半端じゃないくらい、いっぱい呼んでくれる。
しばらくしていないが、キスをするときも、
直は『先生 好き』って何度も言ってくれたっけ。
直は、いつでも俺を『先生』と呼ぶから、間違えることはない。
でも…
俺は!!
俺は…つい『直!』って口から出てしまいそうになるんだ。
だから、卒業までは『矢沢』って呼ぼうと思っていたのに。
今、まじでやばかった。
直があまりにも、優しい笑顔で振り向くからぁ…
「先生!!どしたの?大丈夫?」
直が、俺の袖を掴んで笑う。
「あ…いやぁ…あの…お前のせいだからぁ」
わけのわからないことを言う俺。
直は無邪気な笑顔で俺を見つめる。
夜の電話で説明することにしよう。