校舎と夕日の間から
直は俺のこと、何でも知ってる。
でも、今の俺のこの…感激をお前は知らないだろう。
みんなの文化祭なのに、俺の為の文化祭じゃないかって感じてる。
俺のクラスの生徒はとにかく最高。
「紅しょうががなきゃ、焼きそばじゃねぇだろ!!買い出し、行くか?」
俺は机の上の車のキーを指差した。
周りに他の先生がいないことを確認して、俺は言う。
「2人で、紅しょうがの買い出し…行きますか?」
キョロキョロと職員室を見渡した後、直が嬉しそうに頷いた。
こんなことでもない限り、俺は直と2人になんてなれない。
これは、文化祭の準備であって、抜けがけでも密会でもない。
俺は俺自身に言い訳しながら廊下を走った。
普段は、『走るな、走るな』と言う俺が…