校舎と夕日の間から
助手席に直が座るのは久しぶりだった。
久しぶりの直の温もりに、俺の車も興奮気味。
直が以前、俺の為に選んでくれたグレープフルーツの芳香剤の香り。
一人で乗るのと、隣に直がいるのでは…
やっぱり違うんだな。
「中田にメールしとけよ。うまく誤魔化してくれるだろ!」
中田とは、俺のクラスの生徒で、直の親友。
俺と直の関係を知っている中田は、何かと俺達を助けてくれる。
「ゆかり、こうなるってわかってたんだ!今、メール来た。ゆっくりねって!!」
直は、メールの画面を見ながら足をバタバタと動かして喜んだ。
校門までの坂道を下る間、なぜか沈黙になった。