【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
前を歩いている穂見くんに気付かれないように涙を拭うと、急に立ち止まられた。
もちろん私はそれを知らずに一歩踏み出したため、穂見くんの背中にドンッとぶつかる。
「……ごめんなさい」
いつかもあったな、こんな事。
確か、花火大会で舜くんに…。
今と同じように、思いっきりぶつかっちゃったんだっけ…。
意気消沈しながらも物思いにふけっていると、ハッとして振り返った穂見くんに謝られた。
「いや、俺こそいきなり止まってごめん」
…そんなのいいのに。
ふるふると首を振ると、穂見くんは繋がれていない方の手で頭をかく。
「その………泣いてるかなって思ってさ」
そう言う穂見くんのキレイな瞳には、とても見せられるような顔じゃない私がいて…。
「ふぇっ………うぅっ…」
思わず嗚咽が飛び出した。
…穂見くんには、なんでもお見通しなんだ…。
まるで、本当に舜くんみたい…。
どうして舜くんにこんな感情を抱くようになったんだろう?
あんな手の届かない人に恋なんかして、フラれる前提とか言ってたけど…。
フラれる前提じゃ、恋なんてできないよ。
期待してたんだ、どこかで。