【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
あーあ。
俺の初恋も散り時か。
長かったな……。
10年以上も会ってないヤツに恋してさ。
多分ひなは、俺のことを覚えてないってのに。
一方的に想いつづけて…。
傍から見れば、とんでもないバカだ。
「兄ちゃん、元気出しな!」
そう言って店のおじさんがサービスで出してくれたお好み焼きを真っ二つに割る。
と同時に、プツッと俺の中の何かが、音を立てて切れた。
…理奈子と………。
………婚約してもいいか。
…今さら家庭教師の分際で、ひなの彼氏を奪おうとも思わない。
ひなはひなで幸せになってくれればそれでいい。
たとえ、俺の隣でなくても………。
…俺のこの想いは………。
伝える必要は、きっと……ないんだ。
そんな事をボーっと考え、また無意識にチューハイを一気飲み。
「おい、篠崎っ。もうその辺にしとけ!」
「うるせ……まだ飲み足りねえんだよ」
悠河に止められると、なんだか無性にムカついてきた。
俺の……俺のひなへの気持ちは、そんなモンだったのか?