【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
…案外軽いものだったのか?
10年前、初めてひなに会ったときと同じように…。
4ヶ月前再会したとき、俺の中に風が吹いた。
冷たくも温かくもない、変な風。
それがなんの意味を示しているか、よく理解できてたけど。
…まぁつまり、ひなへの想いが…。
止まっていた時間が、初恋が、再始動したんだ。
諦めよう諦めようと言い聞かせては、写真を眺める日々。
…それが、毎日本物のひなに会えるようになった。
必死に頑張るひなに、悪戯もした。
浴衣姿はマジで、頭が真っ白になって声が出なくなるほど可愛かった。
寝ているひなを抱えて、悠河の家まで歩く時間は理性との戦いで…。
今まで人と関わることを控えてきた俺にとっては、新鮮すぎて…。
「オイ!お~い?篠崎ー?」
悠河の声が遠く聞こえる。
ダメだ、俺……。
この想いを伝えてしまうと、ひなとの距離が更にあきそうで…。
酔ってる時にマイナス思考になるのは、俺の悪い癖。
…そうわかっているけど…。
「………おえぇぇ…」
「だからやめとけって言ったのに!」
気持ち悪すぎて、思わず店のトイレに駆け込んだ。