【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
カチカチに固まって動かなくなった私を見て、舜くんが声をかけてきた。
「ひな……?休めって、冗談だけど………」
でも、舜くんの言葉なんて右から左に抜ける。
私、これまで何のために頑張ってきたんだろう…?
クレープ一年分のため?
テストでいい点数とって、皆に褒められたいから?
…………どっちでもないよね。
舜くんとクリスマスを過ごしたい。
舜くんと同じ大学に行きたい。
…そんなことを夢見ながら、今まで頑張ってきたんだ。
ぼろぼろと瞳からこぼれていく涙が、淡いピンク色のカーペットを濃い色に染めていくのを見ていると…。
「…………嘘。やっぱり休め」
いつもの舜くんとは違い、せっけんの香りとともに、ぬくもりに包まれた。
…だけど。
「…平気だよ、行く……」
私は舜くんの腕の中からするりと抜ける。
そういうのも、私が舜くんに期待しちゃう原因なんだよ。
私に優しくして、あとで困るのは舜くんなんだからね?
何も言わない舜くんの横を通り過ぎ、洗面台の鏡の前で思いっきり顔を洗った。
舜くんがどんな顔してるかなんて知らない。
…諦めるって、神社の神様に誓ったんだもん。
穂見くんと行った神社を思い出しながら、ハイスピードで制服を着替えリュックを背負い、ドアノブに手をかける。