【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
な、何してんだ俺………。
腕を放して少し起き上れば、ひなの泣き顔とたくさんの赤い痕が目に入る。
俺は本能に勝てなかったってことか…。
ひなといると…。
ひなの事になると、俺は欲まみれのただの男になっちまう。
…それで結果、こうしてひなを傷つけて泣かせる。
「ゴメン……ひな………」
怖い思いさせて…。
俺は謝りながらひなに手を伸ばした。
「…………っ…!」
けど、ひなの体が一瞬、ビクッとこわばる。
そんなひなを見て、俺は伸ばしかけた手を引っ込めた。
…やっぱ、いきなりあんなことされて怖がらない方がおかしいよな。
いくら一緒にいたって、今日付き合いたてのような俺ら。
それなのに、手ぇ出した俺。
……ありえねえ。
未遂で終わったからいいものの、あそこでひなが俺を呼ばなかったら、絶対に壊してた。
「…本当にごめん。」
俺はそれだけ言って、ひなから離れる。
あー…想いが通じ合うのって、怖いな。
つい、油断しちまう。
…それに女って恋愛沙汰……告白とかキスとか、そういうの一回一回を大事にする生き物みたいで。
しかもひななんか、初めてだろうし…。
絶対に傷つけた。