【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
「ひな………」
「第二ボタンどころか、舜くんの卒業姿も見れなかったし……」
その時はまだ、中学生だったもん。
しかも、舜くんに出会ってなかったわけで。
…でも図々しいとはわかってるけど、せめて一度くらいは舜くんの制服姿見たかった。
「…そうだね」
「美織、ひな~!」
か細い声で頷いた美織ちゃんに視線を向けると、悠ちゃんの大きな声が聞こえる。
門の方を見れば、大きく両手を振る悠ちゃんが。
……恥ずかしい。
みんな見てるよ…。
これぞ、注目の的って感じ。
「もう、悠河は声がデカいっ!」
悠ちゃんの車の前まで行くと、美織ちゃんはムッとした顔でそう言い、先に車に乗り込んでしまった。
「え?美織、機嫌わりぃの?」
首をかしげて眉をひそめる悠ちゃんに、私は笑顔で返す。
「ひーみつ」
悠ちゃんに言うとすぐ大声を出すから、そういうことにしておこう。
ここは当人同士で解決してもらわなきゃね。
「俺のせい!?」と考え込む悠ちゃんにクスクスと笑っていると、
「お前はこっち」
「わぁっ!?」
突然グイッと腕を引っ張られた。
そして、力任せに悠ちゃんの後ろに止めてあった車に乗せられる。
…そのせいで、もらったお花や手紙が手から零れ落ちた。