【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
あ、あれは………!
「ひ、ヒロっ!?」
隣の男子校のサッカー部主将兼、美織ちゃんの彼氏の裕貴くんだった。
よかった、来てくれて…。
裕貴くんはユニホーム姿にエナメルバッグを肩から下げていて、いかにも部活帰り。
きっと、早く終わらせて美織ちゃんの所に来てくれたんだと思う。
そろそろ花火が始まるころだ…。間にあってくれて、本当によかった。
ホッと安堵の息を吐く私の隣で、美織ちゃんは少しうつむく。
「ごめん、試合でさ……。えと、浴衣似合ってる」
ポリポリと頭をかきながら、顔を赤く染める裕貴くん。
そんな裕貴くんの言葉で、美織ちゃんまで顔を真っ赤にしてる。
ふふっ、私はお邪魔かな?
こんないい雰囲気の中、2人っきりにしないほど空気の読めない私じゃないよ?
「せっかくだし、2人で行ってきなよ!私、悠ちゃんのいる本部に行くからっ」
「ありがとな」
そう言って2人から少し離れて手を振ると、裕貴くんにお礼を言われた。
ありがとなんてとんでもない。
花火大会は、やっぱり好きな人と楽しまなきゃ!
…私も来年は、彼氏ができてるかな?
花火大会の日、1人で浴衣で歩くほど悲しい女の子はいないよ…。