【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
歩く速度を少し速めたとき、毎年恒例のアナウンスが聞こえてくる。
『市長の、内海です。今年も……』
いつも花火五分前に流れる市長の言葉。
もうすぐ、花火が始まっちゃう…!
そしたらきっと、人ごみに押されて変なところに着いちゃうに違いない。
悠ちゃんのいる本部って、どこにあるの?
私、本部なんか行ったことない。
毎年近くの公園で見てるからなぁ…。
悠ちゃん、どこにいるんだろう…?
あっ、舜くんは……来てるワケないよね。
仕方ない、お母さんに電話でもして聞いてみようかな?
きょろきょろと周りを見渡しながら歩いていくと、後ろから声をかけられた。
「キミ、一人?」
振り向くと、数人の男の人。
悠ちゃんや舜くんくらいの年ごろの人たち。
えと……一人です…。
と答えるのも恥ずかしい。
道とかだったら、そこにいる警備の人に聞いてほしいなぁ…。
私、今すっごく取り込み中なので…。
あわあわとしていると、1人の男の人に手を取られた。
「1人なんだろ?一緒に回ろうぜ」
「な?いいじゃんいいじゃん!」