【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-






「舜くん、来てたんだ…」




ホッとしながら見上げると、ギュッと手を握られる。




「あぁ。どっかのバカが、この俺の授業を差し置いて行きたいとか言ってたしな」




…すっごい嫌味に聞こえるんだけど…。




でも、たしかに舜くんの貴重な授業を断ってまで来た。




だって、ホントに楽しみだったんだもん。




ムスッと頬を膨らませてうつむくと、舜くんが私を見下ろしながら笑う。




「ま、ヘンな屋台の手伝いもあったし」




…ヘンな屋台?




舜くん、お店出してるの?




と聞こうとしたとき、携帯の着信音が鳴り響いた。




「っ、トシだ」




そう呟いた舜くんは、私の手を離さずに、もう片方の手で携帯を操作して耳に当てる。




…いつもより甘いにおいがしてたのって…。




もしかして、そのお店の売り物のにおい!?




ってことは、かき氷とか水あめとかやってるの?




…舜くん、サービスしてくれないかなぁ?




チラッと舜くんを見上げると、「あぁ、わかった」と言ってちょうど電話を切っていた。




そしてすぐさま、視線は私へと向けられる。




「なんでお前は一人で歩いてんだよ?悠河のイトコはどした?」




まさか、はぐれて迷子になったのか?と言わんばかりの視線。




「美織ちゃんは途中でデートに行っちゃって…。それで、本部に行こうとして…」




「絡まれたわけか」













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