【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
迷子じゃないと主張しようと頑張ったら、そっちの事をキッパリと言い切られてしまった。
…しかも舜くん、ちょっと不機嫌。
た、たしかに絡まれた…というか、話かけられたのは事実だけど!
道聞かれただけかもしれないし…。
「お前、ナンパされたんだろ?」
鋭い瞳で睨んでくる舜くんに、言い返す言葉を必死に選ぶ。
そ、そそそんな大それたことじゃないよっ!!
ナンパだなんて…!一回もありません!
と思っても、舜くんがまとう雰囲気が怖くて口には出せない。
結局私は、道を聞かれたことにした。
「違うよっ…!道聞かれただけで……」
と、身振り手振りで説明する私はハッと思う。
なんで彼氏でもない、家庭教師の舜くんにこんな言い訳みたいなことしてるんだろう。
別に、私がナンパされようが舜くんには関係ない。
そう、関係ないのに……。
ズドーンと負のオーラを放ちながら俯いた。
舜くんはふいっと別の方を向いて、そんな私の手を引っぱって歩き出す。
「とにかく。本部の悠河んとこまで連れてくから」
そして、まっすぐ前を向いてそう言ってくれる。
そ、それはありがたい!
…けど、舜くん、お店は…?
「ねぇ、舜くん」