【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
そう声をかけてみても、舜くんは無反応。
黙って私の手を引いてどんどん歩いていくだけ。
…そんなに怒ること?
って、怒ってないとは思うけど…。
もしかして、ヤキモチ…?
なんて思う私って本当バカだなって思う。
私はギュッと目を瞑って、舜くんの手を強めに握り返した。
仮にも家庭教師の舜くんが、私のコトなんかっ…。
………アレ…?
これってなんか…私が舜くんを好きみたいな感じになってない?
ハッとして舜くんの後ろ姿を見つめた。
「…………ない、絶対」
無意識に呟いたのは、そんな言葉。
幸い周りがにぎわっていて、舜くんには聞こえなかったみたい。
…うん、ないよね!
あんなキス魔で意地悪で変態な…。
ないないない!ありえないっ!
ブンブンッと首を振る私に、舜くんの背中がドンッと当たった。
「ちゃんと前見て歩けっつーの。俺の気苦労が絶えねえ…」
こっちに振り向いた舜くんは、深いため息を漏らす。
「す、すいません………」
舜くんのコト考えてて…。
…とか、とてもじゃないけど恥ずかしくて言えない。