【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
「ほんの少し抜けただけだろ」
「勝手に割りばしでわたあめ作ったバツですよ」
ぎゃぁぎゃぁと言い合いを始めた二人を横目に、私は少し考えた。
…割りばしで作ったわたあめって、もしかしてコレ…?
ってことは、本当に舜くんが作ったってコト…?
あぁぁぁ…写メっておきたかった!
もうほとんどただの割りばしになったソレは、最早原形がなんだかわからなくなってる。
ココに残ってるのが、“割りばし”じゃなくて“わたあめ”だったらなぁ。
ショック…。もう食べ終わっちゃったよ…。
あとちょっと早く、この人がココに来てくれれば…。
…私が舜くんの言葉を信じていれば…。
あぁーっと激しく落ち込む私を見つけてか、舜くんの友達の人が話しかけてきた。
「あれ?その割りばし……」
コレが…何か?
割りばしを見てからその人を見上げると、「へ~え」とニヤニヤされた。
…どうして大学生って、よく笑うの!?!?
しかも、言葉で表現すると大抵は“ニヤニヤ”に当てはまる。
「俺ね、舜祐先輩と同じ大学の田切慧矢(タギリ トシヤ)。ごめん、舜祐先輩借りるね」
「あ、どうぞ」
そういえば…さっき、舜くんが電話してた『トシ』って、この人だったんだ。
ぺこっと頭をさげて、割りばしを捨てにゴミ箱へと歩く。
舜くんや悠ちゃんや田切さんがいる大学……。
きっと、楽しんだろうなぁ…。
と、想像しながら戻ったら…。
「ホントごめんね。浴衣似合ってるよ」
田切さんに、耳元でそうささやかれた。