【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
……ありがと、ございます…。
そういえば、私、今日浴衣だったんだ。
少し照れ気味の私に、田切さんはクスリと笑ってくれる。
「バイバイ」
「あぁ」
ふて腐れながらも田切さんと歩き出す舜くんに手を振ると、苦い表情で手を振り返された。
浴衣……舜くんにも「似合ってる」って言ってほしかったな。
に、似合ってるはさすがに欲張りすぎだけど、せめて「今日浴衣着てるんだ」って気付いてほしかった…。
舜くん、浴衣の話に一瞬も触れないし、最悪気付かれてないかも…。
はぁっとため息を吐いたとき、今度は悠ちゃんが走ってきた。
「ひな、俺ちょっと見回りしてくっから。本部頼むな!」
え…ちょっと悠ちゃん!?どういうこと!?
私、元々本部の人じゃないよ…!?
と、引き止める隙もなく、悠ちゃんは走って人ごみにまぎれていく。
そして、あっという間に見えなくなっていった。
本部頼むって……私、仮にも花火見に来てる人なんだけど…。
どちらかといえば、出店で何か買ってゆっくり花火見る側なんだけど…。