神崎探偵事務所へようこそ!!
「聖哉~~~~~っ!!」
総ちゃん達の怒号を聞きながら
聖ちゃんはいつもどおり
私の手を引っ張って
ガレージへと連れて行く
そしてピンクのミューメットを私に手渡すと、愛車のハーレーを操り家の外に飛び出した。
頬をなでる冷たい風
ゴォォォと耳を鳴らす
風の音
いつもと同じ
聖ちゃんの背中
だけど昨日の私とは
少し違う
私の心の中
――あ~、ダメだ。
無意識だけど顔がにやける。
今私の目の前にいる聖ちゃんは
お兄ちゃんで
カフェのオーナー。
だ・け・ど
本当は探偵で
私専属のボディガード
優しくて
男らしくて
ワガママな頼れる長男は
そんな秘密を抱えた
ワケアリ男だった。