神崎探偵事務所へようこそ!!
ちなみに…
聖ちゃんがさっきから言っている“送迎係”とは、私の登下校時のボディーガードである。
普通なら。
普通の兄妹ならそんなの頼まれたってやりたくない、めんどくさい役目なのだけれど。(しかも私自信迷惑なのだけれど。)
そこはちょっと変な神崎ブラザーズ。
なぜか毎朝毎朝、その役目を争って、あの手この手で勝負をつける。
時にマラソン
時にトランプ
時にダーツ
時に百人一首。
ありとあらゆる方法で戦い
その勝者がその日一日の“送迎係”として任命されるのである。
それゆえに……
「ハンっ、偉そうに。たかだかジャンケンだろー??」
「そうデス、そうデス。」
「ジャンケンごときであそこまで喜ぶ、聖哉の気が知れませんね。」
ルンルンな聖ちゃんとは違って、文句タラタラ、悪態つきまくりの3人の兄達。
「へーんっ、負け犬どもがうるせーな。
誰がなんと言おうと、今日の勝者はこの俺様、神崎聖哉だ!!」
そう言って。
聖ちゃんはアッカンベーをしながら3人を馬鹿にする。
「聖ニイ!!」
「Seiya!!」
「聖哉~!!!!!」
そうして3人が限界まで怒りを膨らませた時。
「ぎゃははは!!怖ぇーっ!!
行くぞ、ミュー!!!」
聖ちゃんは豪快に笑いながら私の腕をグイッと強く引っ張った。