神崎探偵事務所へようこそ!!
「美優、ボーッとつっ立ってないでさっさとご飯食べな。」
「あ、ごめん。」
我が家の大黒柱、お母さんに促されてダイニングテーブルに座って目玉焼きを食べていると
「ただいまー。」
職業、夜の蝶。
銀座のホステス、ミキちゃんがお酒とタバコのにおいをさせながら帰ってきた。
盛り盛りの髪の毛のまんま、ダルそうにダイニングへ歩いてくるとお鍋の中にあるお味噌汁を自分でよそって席に着く、ミキちゃん。
「どーした?美樹。
随分疲れてんじゃねーか。」
ケケッと笑いながら聖ちゃんが尋ねると
「どーしたもこーしたもないわよ。しつこい客に言い寄られて困ってんのよ。」
心底嫌そうな顔をして、ミキちゃんがハァとため息を吐く。
「珍しいですね。
そういう客をあしらうのはお手の物でしょう??」
意外だ、と総ちゃんが尋ねると
「ビジネスとしてお断りするのは得意なんだけどね?何かアタシに本気になっちゃったらしくて、困ってる、ってわけ。」
お味噌汁をすすりながら、ミキちゃんは嫌そうにそう答える。
「へー。ホステスに本気になるなんて…おバカさんですネ。」
「本当だよ。
身ぐるみはがされて、骨の髄まで金をせびり取られるのが関の山なのにねー。」