神崎探偵事務所へようこそ!!
ミキちゃんと総ちゃんに電話をかけた数十分後。2人は涼しい顔をして事務所にあらわれ、
「とりあえず緊急事態だ。会議室で打ち合わせするよ。」
そう言ったお母さんに連れられて、ミキちゃん、総ちゃん、お母さんは会議室に消えていった。
私もその集まりに参加したかったんだけど……
「アンタが必要と感じたら、声をかけるから。とりあえずアンタはそこに待機して雑用を処理してるんだよ?わかったかい??」
そう言って鬼の目をしていたお母さんに食い下がることが出来ず……時計と会議室をチラチラ見ながら、ソワソワと落ち着かない時間を過ごしていた。
だめ……かな。
何の話してるのか気になるんだけどなぁ……。
探偵と言っても駆け出しで、一番最安値の梅コースに属し、事務所での仕事は、ほぼほぼお茶出ししかしてない私。そんな私が知りたいと思うことは、身の丈に合わないことなんだろうか……。
そんなことを考えながら、書類をファイリングしていると
「美優?BOSSが呼んでるわ。」
お仕事前で、バッチリ化粧を施したみきちゃんが私を呼ぶ。
や、やったあー!!!
喜び勇んで中に入ると、ニコニコ笑う私をよそに、お母さんは
「美優。」
「はいっ!」
「アンタ……しばらく学校休みなさい。」
「……はい??」
「短くて2週間、長くて1ヶ月。
美樹と行動を共にして、決して1人にならないで欲しいのよ。」
お母さんはこんな訳の分からないことを言い出した。
__な、なんで??
意味がわからず首を捻ると
「美優。言いたくはないですけどね。
あなたの身に危険が差し迫っています。」
総ちゃんは、ハァとため息を吐きながら、1枚の紙を私に差し出す。そこに書かれているいたのは1人の女性の写真と事細かな経歴。
「ゆり……21歳。
趣味、映画鑑賞。下着集め。ホストクラブ通い……愛犬の名前は、ショコラ。好きなものはアップルタルト……」
総ちゃんに渡された資料の頭から文章を読んでいると
「美優。大事なのはそこじゃありません。その次です!」
呆れた総ちゃんはコメカミに青筋を作りながら、私のことをギロリと睨む。
__ひぃい!!!
総ちゃんの睨みにオドオド怯えながらその続きに目をやると
「二年前から銀座のクラブ:Amabile(アマービレ)に勤務。“ゆり”の本名は宮坂舞花……って?!!!」
ビックリして総ちゃんに目をやると、総ちゃんはコクリと頷いて
「そう。……先程ニュースに出ていましたよね?昨日殺されたホステスは彼女なんです。」
こんな恐ろしい言葉を冷ややかに口にする。