マイハニー
お風呂から出た後、お兄ちゃんの部屋をノックする。

私ってば今まで何を見てたんだろう。

その部屋は、よく見ると、
CDやDVDがいつもある棚に無くなっていたり、
本棚は空っぽになっていたり、
畳んだダンボールがいくつか立てかけてある。
お兄ちゃんはクローゼットに掛けてある洋服を取り出していた。

黙って部屋に入り、ベッドに腰掛ける。


「ねぇ!どういうこと?」

「・・・」

「なんで何も言ってくれなかったの?」

「・・・」

「なんで勝手に決めちゃうの?」

「・・・もう決めたことだから」

「・・・なにそれ」


淡々としたお兄ちゃんに腹が立ち、ドアをバタンと大きく音を立てて閉め、
私は部屋を出て行く。
せっかく一緒にいるのに、
抱きしめられることも、キスすることもなかった。

ベッドにもぐり、枕に顔を埋めた。
涙が止まらなかった。

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