マイハニー
お兄ちゃんは大きく溜息をつき、
着ていたシャツのボタンに手をかけた。
私はなんだかいたたまれなくなって
「私がやってあげる」
とお兄ちゃんに寄っていき、ボタンを外そうとした。

お兄ちゃんがポツリとこぼした。


「な・・・むなしくない・・・?」

「・・・・」

「俺ら、こんなことやっていいのかな・・・」


ボタンを外そうとした手は止まってしまい、
どうしたらいいかわからずに、手を下ろした。

腰をかけていたベッドから立ち上がり
「今日は帰る」
とお兄ちゃんが小声で言った。

「あんま、家族に心配かけんなよ?」

と私の頭に手を置いて言った。
部屋を出ていこうとするお兄ちゃんの背中に

「私のこと、もう嫌いになった?」

と聞いてみた。
お兄ちゃんは背中を向けたまま、
「嫌いになるわけないだろ」
と答えた。


お兄ちゃんが帰った後、いっぱい泣いた。
嗚咽で苦しくなるぐらい。
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